アメリカの医療制度と病院のかかり方をわかりやすく解説(予約、支払い、医療保険など)

医療

アメリカで生活を始めると、ただでさえ勝手が違って戸惑うのに病院に行くとなるとハードルがぐっと上がりますよね。

そこで今回は、日本とアメリカの医療保険や制度の違いや病院のかかり方(予約、支払いなど)について解説していきます。

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日本とアメリカでは医療制度が大きく異なる

まずは、「アメリカと日本では医療制度が大きく異なる」ということをしっかり覚えておく必要があります。

日本と同じ感覚でいると、診察を受けつけてもらえなかったり、高額請求が来てしまったりと面倒なことになりかねません。

アメリカと日本の違いを具体的に上げると、大きく分けて、医療保険制度が異なる』ことと、家庭医(主治医)制度』があることの二つになります。それぞれ一体何が違うのか以下で個別に解説していきます。

医療保険制度の違い

日本にはご国民皆保険制度がありますので、生活保護受給者を除く全国民が基本的には健康保険に加入することになりますが、アメリカには国民皆保険制度が存在しません

正確には、オバマ政権時代に成立したオバマケアによって全国民が医療保険には入ることが求められたのですが、個人の自由が尊重されているアメリカでは加入する保険は自分で選ぶことができ、なた(ペナルティを払ってでも)入らないという選択もできます。

更に「医療はビジネス」という資本主義のお国柄もあり、病院や保険会社などのいわゆるプロバイダーの競争が激化していて、その複雑さを助長しています。

この事実はアメリカにとって切実な問題で、日本やイギリス、カナダを含む他の先進国と比べて医療へのアクセス、公平性や患者予後を比較した研究ではメリカの世界的に見た評価が最低レベルという結果も出ており、何とかして変えなければいけないという風潮がかなり前から起こっています。

次にアメリカの保険制度について詳しく見ていきます。

公的保険と民間保険

日本では二階建ての保険制度が用意されています。具体的には、一階部分が公的保険で、国が負担し、誰もが同じ条件(負担率など)で保険のメリットを受けることができます。二階部分は、より先進的な医療を受けたい人向けで、民間保険がカバーします。

しかしアメリカには二階建てという概念がありません。アメリカでは公的保険(Medicare/Medicaid)に入れる対象が高齢者や障がい者そして一部の低所得者に限られており、誰もが入れるわけではありません。そのため、公的保険に入れない人は学校や会社が提携する民間の保険に入るか、無保険になるか選択することになります。加入者の割合は、最近のデータでは、40%が公的保険、50%が民間保険、残りの10%は未加入とされています。

民間保険に加入する人の多くは労働者世代です。基本的には、勤める会社が保険会社と契約して一部の保険料を負担してくれるので、そのぶん割安に保険に入れることができ、家族分も含めて加入するのが一般的です。ただし、会社のサポート無しで民間保険に入るとなると高額になったり補償のグレードが下がったりするため、実質的には他に選択肢がない(会社の保険に入るしかない)というジレンマを抱えています

そして、深刻なのが無保険者です。日本でもワーキングプアという言葉があるように、アメリカでも公的保険が受けられない低所得者や勤務先が保険を提供してくれない人は、高額な医療保険を支払うことができないので、無保険になってしまうケースがあります。

無保険者の末路

2000年初頭に話題になったデンゼルワシントン主演のJohn Qという映画をご存知でしょうか。

これはまさにアメリカの保険制度の問題点を取り上げた映画として注目を集めました

詳細は割愛しますが、心臓病を患った息子に移植手術を受けさせたい主人公(デンゼルワシントン)が保険に加入していないために高額の医療費が提示され絶望する様子が描かれています。

このように、保険に加入しないということは医療に対してノーガードという状態で、高額の医療費を覚悟しなければなりません

格差社会が拡大しているアメリカでは、十分に収入がない人は保険料のために生活を切り詰めるか無保険になるしか選択肢がないのが現状といえます。

そして、さらに国民を苦しめるのが保険の種類の違いです。

加入する保険は一つだけではない

保険と一口に言っても大きくメディカル(内科など一般医療)、デンタル(歯科)、ビジョン(眼科)に分かれており、それぞれで加入が必要です。

特に、歯科は日本と比べて治療費が高額ということが知られており、保険なしでは(場合によっては保険があっても)驚くような請求が来ることがあります。

一つにまとまった保険も選べますが、月々の支払額が高額になりますので、デンタルを対象から外したり、メディカルだけに加入したりと各自が選択しなければなりません。

そして、とどめの一撃が次に紹介する保険会社と医療機関が結託した囲い込みの問題です。

全ての医療機関で自分が加入する保険が使えるわけではない

日本では公的保険によってどの病院やクリニックに行っても一律の負担割合で医療が受けることができますが、アメリカは違います。

アメリカでは、保険に加入していたとしてもすべての医療機関で使えるわけではありません。

保険が使えるのは保険会社提携する医療機関(In-network)のみで、そこで受診しないと保険が適用されない(ディスカウントが受けられない)ということになります。
(正確にはPPOやHMOなど、複雑な仕組みなのですが、ここでは割愛します)

このため、病院にかかる際は、まず保険会社のウェブサイトなどからIn-networkの医療機関を探すか、近所にある医療機関がIn-networkであるか調べるのが最初のステップとなります。

主治医制度とUrgent Care

次に、実際に病院のかかるときの主治医の決め方と医療機関のタイプについて説明します。

主治医制度(家庭医・プライマリケア医)

アメリカでは一般的に、主治医を自分で決めなければなりません。主治医には、家庭医(Family Doctor)とプライマリケア医(Primary Care Physician:PCP)の2通りのタイプがあります。

一般的には、初診を受けて、身体検査等を行ってくれた医師(家庭医又はプライマリケア医)が自動的に主治医になります。そして何か健康上の問題た起こった時にはその主治医に相談するという流れになります。

ただし、いつでもアポイントが取れるわけではなく、人気の医師であればアポイントが3か月先なんてこともあり得ます。このため、初診は早め済ませておくことをお勧めします。大怪我や大病を患ってからでは手遅れになりかねないため、時間に余裕をもって行動することが大切です。なお、最初の診療では、問診、触診、血液検査などを行ってカルテを作成してもらい、必要に応じてワクチンの追加接種などを行います。

初診の後は、自分で毎回アポイントを取って受診します。すぐに受診したくても当日受けられることは難しいため、緊急であれば電話で指導を受けるか、数日後にアポイントを取って受診することなります。定期健診などは、初診の際にあらかじめ1年後などに設定するケースもあります。

また、専門的な検査や治療が必要な場合は、主治医から紹介を受けるという形で専門医を受診することになるのですが、酷いケースだと、骨折して整形外科に行けるのが1か月後ということもあり得えます。このため、主治医を選ぶときには後悔しないように慎重に検討する必要があります。

Urgent Care

実はアメリカにもアポなしで駆け込めるUrgent Careという医療機関が存在します。日本の街中にあるクリニックをイメージでしてもらえばよいと思います。

Urgent Careでは高度な医療は受けられないのですが、急な体調不良や軽いけがなどには対処してくれます。また1回あたりの費用は一般的な医療機関と比べて割高ですが、割とアクセス良い(それなりの街であれば一つはある)ため、主治医を設けず、何かあったらUrgent Careに駆け込むことにしている人も一定数います。自分や家族の健康状態や住環境などを踏まえ、主治医とUrgent Careをうまく使い分けると柔軟に対応できます。(本当に緊急なものは911に電話するか、もしくはERに駆け込みましょう)

医療費の支払い方法

後払いが基本

アメリカでは、受診した当日ではなく、後日メールや郵送で請求書(インボイス)が届いてクレジットカードなどで支払うことが多いです。

保険会社のウェブサイトから支払える場合もありますし、医師が個人事業として提供するプライベートケアの場合はVenmoやZelleなどのアプリを使って送金する場合もあります。

どのような方法でも、指定された方法で期日までに支払えば問題ありません。

In-Networkの場合は基本的にCopayのみ

Copayとは、日本でいうところの自己負担額です。

自己負担額は加入する保険の種類やグレードによって変わりますが、In-Networkの医療機関では毎回10~50ドルのCopay(コペイ)のみで済むことが多いようです。

また、Out-of-Networkの医療機関ではCopayは使えず、基本的に全額を自己負担することになります。

Out-of-Networkでも一部戻ってくる場合がある

Out-of-Networkを受診すると高額な医療費が請求されます。

一旦は全額を自分で支払う必要がありますが、加入する保険の内容によって一部が戻ってくる(償還される)ことがありますので規約を確認することをおすすめします。

償還を受けるためには保険会社に「File a Claim」という手続きを行います。償還される割合は加入する保険によって変わりますが、一定割合が戻ってくることがあります。

アメリカはOTC医薬品が充実している

アメリカでは不要な受診を減らして医療費を抑えることを目的に、薬局やネットで買えるOTC(Over the counter)医薬品が充実していています。風邪をひいて主治医に電話したら「タイレノール飲んで寝ててください」と言われることも。市販薬で対処できる範囲を広げるという考え方は確かに合理的です。

Tylenol Extra Strength Acetaminophen Rapid Release Gels,

アメリカの薬局やネットで買える市販薬については以下の記事でも紹介していますのでよろしければご参考ください↓

関連記事:【まとめ 症状別】アメリカで常備したい薬局やネットで買えるおすすめ市販薬

最後に

アメリカで医療を受けるためには仕組みを理解するだけでも大変です。

健康であることが一番ですが、有事に備えて早めに準備しておきましょう。

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